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晏子 使荊。
晏子将に荊に使ひせんとす。
晏子は荊(楚)に使者として行こうとしていた。
他国への訪問、命がけです。「一人の要人を弑することは、万の軍を破るに匹敵する」と言われていた時代でした。
趙の藺相如の秦への訪問など、命がけで他国を訪ねた時の逸話はかなりあります。
荊王聞 、謂曰、「晏子賢人 。
荊王之を聞き、左右に謂ひて曰はく、「晏子は賢人なり。
荊王はそれを聞きつけて、側近たちに言った、「晏子は賢人である。
今方来。 之。
今方に来たらんとす。之を辱めんと欲す。何を以てせんや。」と。
今ちょうど
。やつを辱めてやりたい。どうやったらよいか。」と。まるで小学生?って思ってしまいます。
どんな得があってこんなことをしようとしたのでしょうか?
今回は失敗しましたが、これ、うまく行ってたとしても相当気まずいんじゃないですかね?
左右対曰、「 来 、臣縛一人、過王而行。」
左右対へて曰はく、「為し其れ来たらば、臣請ふ一人を縛し、王を過ぎて行かん。」と。
側近(の一人)が答えて言った、「もし
、どうか 。」と。※作戦会議ののち、場面は変わります。
荊王与晏子立語。是に於いて荊王晏子と立ちて語る。
有縛一人、過王而行。
一人を縛し、王を過ぎて行くもの有り。
(すると)一人の者を縛り上げて、
を通り過ぎていく者がいた。王曰、「 者 。」対曰、「斉人 。」王曰、「何 。」
王曰はく、「何為る者ぞや。」と。対へて曰はく、「斉人なり。」と。王曰はく、「何にか坐せる。」と。
王が言った、「
。」と。「斉の国の人です。」と 。王は言った、「何の罪を犯したのか。」と。曰、「坐盗」。王曰、「斉人固盗 。」
曰はく、「盗に坐せり。」と。王曰はく、「斉人固より盗するか。」と。
「盗みの罪を犯したのです。」と
。王は、「斉の国の人はもともと盗みをはたらくのか。」と言った。晏子反顧之曰、「江南有橘、斉王 人取之、而樹之於江北、生不為橘、乃為枳。
晏子之を反顧して曰はく、「江南に橘有り、斉王人をして之を取らしめて、之を江北に樹うるに、生じて橘と為らずして、乃ち枳と為る。
(すると)晏子はそれを振り返り見て言った、「江南に橘の木があって、斉王が人にこれを取って来させ、この木を江北に植えたところ、生長して橘にはならず、なんと枳になってしまいました。
所以然者何。其土地然也。
然る所以の者は何ぞ。其の土地之をして然らしむるなり。
そうなった理由は何でしょうか。その土地柄がこの木をそうさせたのです。
今斉人居斉不盗、来之荊而盗。
今斉人斉に居りて盗せず、之を荊に来たせば盗す。
今斉の人が斉にいれば盗みをせず、その人を荊に来させたなら盗みをはたらきました。
土地の之をして然らしむる無きを得んや。」と。
(荊の)土地柄が彼をそうさせたのではないと言えるでしょうか。(いや、いえないでしょう。)」と。
荊王曰、「吾欲傷子而反自中 」。
荊王曰はく、「吾子を傷なはんと欲して反つて自ら中つるなり。」と。
(すると)荊王は言った、「私はあなたをやりこめようとして反対に自分でひどい目にあってしまった。」と。
(説苑)
漢文必携P92参照。
1 つくル 作る
2 なス 行う、なす、する
3 をさム 治める、治療する、なおす
4 なル ~となる
5 たリ ~である
6 ためニ ~のために
様々な読み方や意味があります。
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